ビジョンウィンドウから眺める信濃の四季
窓の向こうに世界が見える〜信州つれづれ紀行から
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信州国際音楽村 / 長野県上田市生田
風韻は変わらず
昨年ここを訪れたのは東北大震災あとの 4月のことであった。その時は、あたり一面が鮮やかな黄色に染まったスイセンの群生に覆われていた。その際、私は以下のように記している。
・・・ 訪れた日は 10万本の水仙がみごとに咲き匂う「スイセンまつり」の期間中であり、春霞がたなびく、穏やかな日よりであった。小諸、佐久平を一望する丘陵地の高台からは、遠く浅間山も眺めることができた。ただひとつ、訪れた人々が「どことなく静か」であるように感じたのは私の気のせいか ・・ 春は来たものの、東日本大震災が人々のこころに、深く影を落としているのは「紛れもない事実」である ・・・
あれから 1年の時が過ぎ去ったが「どことなく静か」の風韻は変わらずに続いている。今年のスイセンはもう咲いてはいなかったが穏やかな 5月の風は昼下がりの陽光に照らされた高台を吹きぬけ千曲川を沿うようにして渡っていった。
文・撮影 /
柳沢 健
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