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ビジョンウィンドウから眺める信濃の四季

窓の向こうに世界が見える〜信州つれづれ紀行から
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北竜湖 / 長野県飯山市瑞穂
伝説の湖
 北竜湖は長野県の北部に位置する飯山の市街地から北東に分け入った山中にある。火山の爆発によるくぼみに水がたまってできた天然湖であり、古くは早乙女たちが手を洗う場所であるとして早乙女池と呼ばれた。1847年(弘化4年)には善光寺地震により湖の西部から水があふれ、湖の主といわれた大蛇が住民100人分の命を飲み込み、竜に姿を変え千曲川に流れ下ったという。またかつては南に南竜湖という湖があり、オスとメスの竜が南北それぞれの湖に住むといわれていたという。日本有数の豪雪地帯にある湖は春にその雪融け水を満々と蓄える。
 この知る人ぞ知る神秘的な湖には「いつか訪れよう」と思っていた。山裾に広がる集落を過ぎ、道幅が車1台分しかない山道を対向車がこないことを念じながら遡ると晴天の陽光を紺青の湖面にリフレクトさせてその湖は山襞に抱かれるようにして横たわっていた。その静謐なたたずまいは凛として気品に満ちている。
 帰路に出逢った村人から聞いたはなしでは湖畔に至る大型道路の建設がすすんでいるとのことであった。おそらくは北陸新幹線が飯山を通ることに応じてことであろう。時代の波は隠されるようにしてあった北信濃の奥深い伝説の山間にもまがうことなく及ぼうとしている。
文・撮影 / 柳沢 健
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