ビジョンウィンドウから眺める信濃の四季
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軽井沢高原 白糸の滝 / 長野県北佐久郡軽井沢町
過酷な運命
軽井沢の鹿鳴館と呼ばれた旧三笠ホテルは明治38年に落成。現在は国の重要文化財となっている。その三笠ホテルを見学したあと、浅間山の山頂に至る山麓をここまで登ってきたのである。
30年以上も前のことになろうか、この滝を見物したことがあるのだが、歳月は私の記憶をすっかり洗い流してしまったようで、白い糸のように幾筋もの滝が流れ落ちる様が茫洋と一致する程度で、周囲の景観は浮かんではこなかった。
絶え間なく流れ落ちる清滝を眺めているうちに、三笠ホテルのロビーに展示されていた、色あせた一枚の写真のことが、水面の泡沫の中から甦ってきた。それはかってそのロビーで催された晩餐会をとらえたものであり、近衛文麿、有島武郎など、当時の社交界を代表するそうそうたる文化人が婦人同伴でテーブルを囲み「少々うかない顔」をして写っていた。
彼らもまた、この滝を眺めにここまでやってきたに違いないのだが ・・ そのとき ・・ この滝はいったいいかなる気持ちで、その後に彼らが背負うことになる「過酷な運命」を眺めていたのであろうか ・・・。
文・撮影 /
柳沢 健
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