昨年6月に訪れた時は、陽光が燦々とふりそそぎ、新緑に覆われた黒姫高原が眼前に広がっていたのだが、今日は全てが深い霧に没している。小雨をふくんだ白い霧が風に乗って次々と高原を渡り、
北欧風の外観をもつ童話館は、ぼんやりとした視界の中で静かにたたずんでいた。
ただ子供たちにとってみれば、このような気象現象こそが胸がわくわくするような未知なる体験であって、全身に霧をまとうためには走り回らずにはいられないのである。
そして彼らにとっては、この日の出来事こそが、実はグリム童話やアンデルセン童話以上に、「童話」なのであるが ・・・ そのことに気づくのは、ずっと後の日
・・・ そう彼らが大人になってからのことなのである。
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