木戸池の西側斜面を登ると小高い丘の頂きにいたる。 今日の仕上げの撮影とは、この丘の上から眼下に広がる田ノ原湿原を撮ることであった。 2年前に訪れた田ノ原湿原は寒風吹きすさぶ蕭条たる風景であった。 だが黄色に染まった樹木と湿原とのコラボレーションは見事で、くだんの丘の上からその全体を撮ろうとしたのだが、時間がなく割愛していたのである。

　丘の上には一面にススキが群生しており、吹き抜ける風に西日に照らされた白い穂先を左右に揺らしている。 逆光で思った撮影ができなかったが、あの日の約束を果たせた思いを佳しとし、そのささやかな丘をあとにした。