四方を山に囲まれ桃源郷のように存在するこの農場を訪れるのは2度目である。 2008年7月の前回は、山を隔てて西側に位置する池田町からであった。 曲がりくねった細い山道であったので、今回は国道19号線を北上し生坂村を経て山麓を登るルートをとった。 陸郷と呼ばれる地籍に、メルヘンを感じさせる 「夢農場」 と名付けられた、ラベンダーガーデンはまさに桃源郷にふさわしい。 4万m2 の斜面に、80種類のラベンダーが栽培されている。 ラベンダー祭りの最中とあって、眺める日盛りの丘陵は目当てのラベンダーを摘み取る人々でにぎわっていた。 視線を足下に移すと、近くの養蜂場からでも訪れたのであろうか、蜜蜂の群れが羽音をあげて紫に染まった花の周りを飛び交っている。 額から流れる汗をぬぐいながら山頂を仰ぐと、夢の続きを奏でるかのように、場内スピーカから流れ出たオルゴールのもの悲しい音色が、漂う風に乗って、山間をゆっくりとした足どりで渡っていった。