秋日の体育の日、安曇野ちひろ公園を訪れた。 あいにくの曇天であったがそれでも遠方からの観光客で駐車場はいっぱいであった。 安曇野ちひろ美術館の館内は幾度か見ているので美術館の周囲をゆっくりと周回した。 紅葉の季節が近づいているとみえて園内の樹木は色づきはじめていた。

　公園の北端に新たに 「窓ぎわのトットちゃん」 の物語にちなんだ 「トットちゃん広場」 ができ 「電車の教室」 が再現されたことはテレビのニュースで知ってはいたが間近に見るのは今日がはじめてであった。

　いわさきちひろと黒柳徹子の出逢いは 「窓ぎわのトットちゃん」 の表紙をちひろが描いたことからという。 その後、幾星霜の歳月を経て安曇野のこの地に2人の思いがこのような形で結実したことは不可思議な時空のめぐり逢いである。

　レールのない電車の教室を眺めているうち渡る秋風に乗って2人をのせた電車が発車ベルとともに天空に向かって急速に昇っていくような幻想を覚えた。