着工/昭和38年4月、竣工/昭和44年5月。 6年の歳月を費やして完成した多目的ダムである。
通常は1軸で構成されるアーチ構造が、このダムでは3軸で構成されているという。 堤体の厚みが、他のアーチ式コンクリートダムより薄い事が特徴であり、その薄さにもかかわらず漏水量が非常に少ないとの事である。
当時の土木技術水準の高さとその技術を支えた土木技術者の腕前には 「ただ感嘆」 するしかない。 昭和38年といえば私が中学生の頃である。
谷の両側の岩盤にアーチの両端がしっかりと食い込み、エメラルドグリーンに染まったダム湖の満々たる水量を軽々と支えて微動だにしない
「優美なフォルム」 は一級の芸術品である。 はたして現代の土木技術者はこの作品以上のものを後世にのこせるのであろうか ・・
ダム天端の堤頂でワカサギを釣るふたりずれ以外に人影はなく、あたりは日盛りの陽を浴びてシンとしている。
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