Linear 信州ベスト紀行セレクション
蓼科山の麓にて(3)
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女神湖 / 長野県北佐久郡立科町
メゾンラフィットの夏
 蓼科山の山麓に位する女神湖はまさに名前どおりの優美さを湛えている湖である。 そこには都市文明から隔絶され山襞に囲まれて在る 「桃源郷のような雰囲気」 さえ漂っている。 湖影は春夏秋冬の顔をもつが、中でも夏は格別の趣がある。
 そして夏に訪れると 「きまって思い起こす」 ことがある。 それは 「メゾンラフィットの夏」 という夏のイマジネーションである。 それは谷川俊太郎の 「二十億光年の孤独」 の中にある 「ネロ」 という詩にでてくる夏であって、それはマルタン・デュガールの 「チボー家の人々」 に出て来る夏であるという。 メゾンラフィットはパリの北西、約18kmに位置する。
 行ったことも見たこともない 「メゾンラフィットの夏」 がどうして想起されるのかはわからないが 「夏の女神湖畔」 を訪れるとその夏のイマジネーションが 「何方からか」 やってくるのである。

2018.07

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