水郷の水明をあとにして豊科近代美術館のバラ園に着いたのは陽も西に傾いた頃であった。 美術館界隈は安曇野市の市役所が隣接地に移転したり、安曇野赤十字病院の建物が新築されたりで様相は一変してしまった。
かっては美術館の周囲には解放された空間が広がり静かで穏やかな時間が流れていた。 アルプスを背にしたロマネスク風の建物を眺めながら散歩したり、ベンチで思いにふけるには最適な場所であった。
解放された空間はバラ園も同様であって対置するロマネスク建築にことさらの風情を醸し出していたのである。 それも今では昔の話になってしまった。
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