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未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事

信州つれづれ紀行 / 時空の旅
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JAXA 臼田宇宙空間観測所 / 長野県佐久市
宇宙に向かって立つ
 JAXA 臼田宇宙空間観測所へは過去に幾度か見学を計画したがあれこれの事由で今日まで引き延ばされてきた。 今日こそはと 「意を決して」 臼田町の山麓から観測所へと向かう山岳道路を駆け登った。 途中で大河原峠への道に分け入ってしまったが、運よく出逢った工事会社の職員の導きで、やっとのことたどり着くことができた。
 山上にそびえるように鎮座する直径64mの大パラボラアンテナが見えてきたときにはあまりの大きさに胸躍る思いがした。 だが観測所の正門に着いてみると入場ゲートは閉ざされ、2018年11月19日(月)から2019年4月20日(土)の期間、観測所の見学は冬季休業である旨が告知されていた。 理由は冬季における臼田宇宙空間観測所までの道路の路面状況の問題のためという。 登ってきた道路が閑散とし出会う車もなかったのはそのためであったかと納得がいった。
 残念ではあったが、ふり仰ぐ 「威容の遜色」 は何ら減じるものではなかった。 「小惑星 イトカワ」 を目指した探査機 「はやぶさ」 の初号機が途中で航路をそれて迷子になってしまった刻、この大パラボラアンテナが 「はやぶさ」 が発する微弱な信号を見つけ出し、満身創痍の探査機を奇跡の地球帰還へと導いた功績は忘れられるものではない。 さらに加えて、先日の 「はやぶさ 2」 による 「小惑星 りゅうぐう」 への着陸成功はこの大パラボラアンテナの高精度な送受信能力によって実現できたものであろう。
 かく思えば、山間僻地の山上にひとり佇み広大な宇宙に向かって屹然と立つ 「孤高の雄姿」 は科学立国日本を標榜する 「未来技術の象徴」 のようにも観えてくる。
※)以下の記載は 「JAXA 臼田宇宙空間観測所」 ウェブサイトからの抜粋である。
 臼田宇宙空間観測所は宇宙科学研究所のスペースセンターとして1984(昭和59)年10月、長野県南佐久郡臼田町(2005年4月より長野県佐久市)に設立されました。 この観測所では惑星、彗星や月などの衛星に接近して観測を行う宇宙探査機に向けて動作指令を送信したり、探査機からの観測データを受信しています。 こうした探査機は超遠距離ともなると送ってくる信号は微弱であり、その信号電波を受けるために都市雑音や航空路など観測に支障のある電波が少ない場所が選ばれました。 施設の中核となるのは、主鏡面が直径64mの反射鏡の大型パラボラアンテナで、その総重量は約2000トンあります。 宇宙探査機との交信はSバンドとXバンドで行われています。 将来はKバンドも使われる予定です。 このような宇宙探査機の追跡管制を目的とした大型アンテナは、JAXA のほかアメリカの NASA やヨーロッパの ESA をはじめ世界の数機関が保有しています。

2019.03


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