松本市四賀村の「福寿草の里」にはこの季節にその福寿草が咲く。日曜日の午後、うらうらと照る春陽に誘われるようにして訪れてはみたものの畑地の斜面にはまだ雪が残っていていまだ時季尚早であった。しかたなく近くに位置する「信州ゴールデンキャッスル」に立ち寄った。信州ゴールデンキャッスルは養老乃瀧創業者の木下藤吉郎(本名=矢満田富勝)氏が個人のコレクションをベースに昭和63年にオープンした敷地3000坪(丘陵地を含めると2万坪)を誇る鄙にも希な白亜の殿堂である。養老乃瀧は18歳の木下青年が昭和13年に長野県松本市でその前身となる「富士食堂」を始めたのが始まりという。その後、津々浦々に展開する日本有数の居酒屋チェーンに成長させた立志伝中の人物である。2015年、95歳で没している。
さまざまな石で構成された庭園には長崎の平和祈念像を造った北村西望翁が揮毫した「精進躍動」の石碑が立っていた。2人はどこかで出逢い、ともに未来を語ってでもいたのであろうか
・・ その結果としての精進躍動であったのであろうか? あたりには人影なく昼下がりの静寂だけが永遠に向かって流れている。
|