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未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事

信州つれづれ紀行 / 時空の旅
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糸魚川市街 / 新潟県糸魚川市
がんばろう糸魚川!
 2016年の年の瀬、12月22日、昼前、新潟県糸魚川市の市街地から発生した火災は強風にあおられ燃え広がり、出火から約30時間後の23日夕方になってようやく鎮火するという大火となった。約150棟が類焼、歴史的な街並みを誇った街区は一瞬にして灰燼に帰した。
 北陸新幹線が走った糸魚川の様相を見ようと2016年5月に訪れた街並みがまさかその半年余りの後にこのようになろうとは想いもしないことであった。
 糸魚川駅に隣接する駐車場に車を入れ徒歩で被災地をまわった。瓦礫は片付けられていても復興の槌音はなく空白の空間が猛暑の陽射しを浴びてあたかも空爆された戦地のようにたたずんでいる。眺める私の額からは止めどなく汗が流れおちた。静寂の時間だけが行きすぎていく。
 駅前の通りは新幹線の開業に合わせて見事に整備されてはいたが人影は途絶えている。見あげたアーケードの庇に張られた横断幕には「がんばろう糸魚川! 負けるな糸魚川!」とあった。歴史的な街並みを築いたと同じに時間はかかるであろうが必ずや復興はなされるであろう。

2017.07


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