ともしび博物館でもらった武石村、余里地区の「一里花桃」のパンフレットを片手に持って運転するうち、赤、ピンク、白と色鮮やかに咲く花桃の群生が見えてきた。もともとは自生していたシダレハナモモを、余里の人々が10年以上の歳月をかけ、沿道4kmにわたって、約2000本植えてできたという。世に「花桃の里」と呼ばれる里は他にも幾つかあるであろうが、余里の人々が「世界中でいちばんきれいな2週間」と自負するだけのことはある。いにしえの昔より桃源郷と呼ばれる永遠の理想郷があるといわれてきたが、ここ信州、武石村の余里の地もまた、そのひとつに数えられるのではなかろうか。春の花見は桜が代表格であろうが、花桃の鮮やかな色彩もまた気品に満ちて優雅である。
|