薄汚れたマジックバーで日々働く39歳の売れないマジシャン轟晴夫(大泉洋)は、幼い頃、母に捨てられ、父とは10年以上絶縁状態が続いていた。そんなある日、晴夫のもとに警察から電話が入り、父の死を知らされる。遺骨を抱え、ホームレス生活だった父の住み家のダンボールハウスに来た晴夫は自らの未来を重ね「なんで俺
生まれてきたんだろう」と絶望に暮れる。そこに「青天の霹靂」のごとく、青空に一閃の雷が光り、晴夫を直撃する。気付けば晴夫は40年前の浅草にタイムスリップしていた。浅草ホール(雷門ホール)を訪ねた晴夫は、スプーン曲げを披露して一躍人気マジシャンとなっていく。そんな中、同じくマジシャンをやっていた若き日の父、正太郎(劇団ひとり)と、彼のアシスタントである母、花村悦子(柴咲コウ)と出会った晴夫は、ひょんなことから正太郎とコンビを組むことになる。やがて、悦子の妊娠が発覚、晴夫の出生の秘密が次第に明らかになっていく。妊娠した悦子であったが、産む直前で胎盤剥離が判明、医者からはこのまま出産すると死ぬ危険性があると告げられる。父と母は産むことを決断するが、晴夫は断固として反対し堕胎をせまる。なぜなら自分がこうして生きていることは母が自分を産んで死んでしまったということであり、未来からやって来た晴夫にはそれがわかっていたからである。父から聞いていた母の姿は女癖が悪い父を見限って自分をおいてどこかへ行ってしまった冷たい母の姿であった。だが事実は正反対である父と母の姿を知って晴夫はひとり涙する。晴夫は正太郎に生まれてくる子供に母親がいないことを何と言うのだと聞く。そうさ「俺があちこちに女をつくるもんだから
愛想をつかして出て行ってしまったとでも言うか 自分のせいで母親が死んでしまったなんて 生まれてきた子供には酷なことだからな」と答える。
(中略) あとの結末は期待して見てもらうしかない。
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