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未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事

信州つれづれ紀行 / 時空の旅
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軽井沢聖パウロカトリック教会 / 長野県北佐久郡軽井沢町
甦った時空間
 以前に訪れた旧軽井沢銀座が時の流れの中でどのように変化したのかを確かめたくて再びその地を訪れた。季節も季節であって通りはおせいじにも「銀座」とは言えない閑散とした風情が漂っていた。通りの両側に軒を連ねる店も様相はすっかり変わり、かって入った店は時間の彼方へ去り、新たな店が今の時間を費やしている。記憶にのこる店は数軒であった。
 時代の流れといってしまえばそのとおりである。ただ通りから横に入るショッピングモールは最近造られたとみえ今風のファッションセンスで装われていた。そのモール(※チャーチストリート)を思いもなしにぶらぶらと歩いていくといきなり「軽井沢聖パウロカトリック教会」に出た。よくみるとそれはかって姪の結婚式で訪れた教会であった。そのときは場所がわからず式に遅れてしまい途中からの参列であった。その教会がこんな所にあろうとは思いもしないことであった。
 教会の中を見学できるとあったので入り口のドアを開けると厳粛な霊気で満たされた静謐な空間が現れた。やがて私の脳裏に「確かにここに来た」とする覚醒が時空の彼方からおとずれた。時が移ろってもその神域を冒す者は誰ひとりいなかったのである。
※)軽井沢聖パウロカトリック教会
 軽井沢聖パウロカトリック教会は1935年(昭和10年)に英国人ワード神父によって設立されたカトリック教会である。設計は米国建築学会賞を受賞したアントニン・レーモンドが担当した軽井沢の歴史的建造物である。傾斜の強い三角屋根、大きな尖塔、打ち放しのコンクリートが特徴。1961年から現在までの半世紀にわたりカルロス・マルチネス神父が主司祭を務めている。旧軽井沢の銀座通りから「チャーチストリート」を抜けた正面に位置する教会には四季折々の美しい自然があふれ毎年多くの観光客が訪れるという。
2017.02

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