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未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事

信州つれづれ紀行 / 時空の旅
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親海湿原(およみしつげん) / 長野県北安曇郡白馬村


湿原の南方向を望む

湿原の東方向を望む

カキツバタの群落
失われた世界
 親海湿原は長らく行こうとしていけなかったところである。意を決して訪ねたのであるが「おおよその見当」では行き着くことができず、結局は土地の人に尋ねて、ようようにしてたどり着くことができた。
 教えられたように国道148号線沿いにある「白馬さのさかスキー場」の駐車場に車を止めて湿原を目指したまではよかったが、森に分け入ってしばらくしたところで曇り空から雨が落ちてきてしまった。濡れて散策するには量が多すぎ、行くか戻るか躊躇したが、この機会を逸すれば再訪はいつになるのかわからない。思い定めて傘を取りに車にとって返し再びスタートから歩み返した。
 親海湿原は湿原植物の宝庫である。標高750mにもかかわらず、亜高山帯から高山帯にかけて生息する低層、高層の湿原植物が豊富に自生している。湿原は約20分程で周遊できる遊歩道が整備されていて足下を気にすることなく散策できた。
 それにしても鬱蒼とした森林に囲まれた湿原のたたずまいは何と趣があることか ・・ 雨で訪れる人影もない空間は世間から切り離されたかのごとくに静まりかえっている。 眺めているうちに、ふとコナン・ドイルのSF小説「失われた世界(ロストワールド)」の風景が想い浮かんできた。
 芽吹きの5月にはミツガシワ、6月にはカキツバタ、サワオグルマ、サギスゲ、7月にはコオニユリ、サワギキョウ、コバギボウシ、ドクゼリ等々の群落が湿原を彩るという。 訪れた日は時期を逸した「カキツバタ」がささやかに咲いて迎えてくれた。
2016.06

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