八ヶ岳農場は八ヶ岳の西山麓、標高1,300mの高原に位置する。農業者研修教育施設として昭和13年に開校された八ヶ岳中央農業実践大学校の併設農場である。とんがり屋根が特徴の直売所では学生たちが育てた高原野菜、花々、牛乳や乳製品、有精卵 ・・ 等々が売られている。直売所に隣接する八ヶ岳の高峰を間近に仰ぐ芝生広場は犬や子供連れの家族の憩いの場となっている。

　この農場にはなぜかいつも12月に訪れることが多い。それは師走の忙しさの中で気息を休めて今年の来し方を振り返るに最適な空間であるからなのか、あるいは昨今の激しい時代変化の中では、悠久な大地を耕す青年たちの息吹を直に感じたいがゆえなのか ・・？

　訪れた日は林間には冷気が漂ってはいても、穏やかな陽射しが身を温めてくれるような晴天であった。直売所から100ｍほど離れたビニールハウスでは「シクラメンフェア」が開かれていて、中を覗くと色とりどりのシクラメンが初冬の日々を奏でているかのように咲いていた。