安曇野の北アルプス山麓に刻まれた渓谷には南から烏川に沿って形成された「烏川渓谷」、穂高川に沿って形成された「中房渓谷」、さらには高瀬川に沿って形成された「高瀬渓谷」と続く。それぞれ北アルプス山脈を水源とし急峻な山肌を安曇野に向かって渓流が駆け下りてくる。烏川渓谷を遡上すると常念岳の山頂に、中房渓谷を遡上すると燕岳の山頂に行き着く。北に位置する高瀬渓谷の背後には針木岳が聳え、その頂を越えれば「飛ぶ鳥も落ちる」と形容された黒部峡谷に掛け渡された黒部ダムの満々たる水量を蓄えたエメラルドグリーンの湖面が横たわっている。今回は晩秋の渓谷を烏川渓谷〜中房渓谷〜高瀬渓谷の順に遡る予定をたてたが、つるべ落としの秋の夕暮は待ってはくれず高瀬渓谷には行き着くことができなかった。
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