大学の某教授が 「あのメカニズムは理論的には動かない、もし動いていたとしたら動いていることが間違いだ」
と断言した。 ウソのような本当の話である。 理論は現象を過不足なく妥当性をもって説明するために人為的に考え出されたものであって、考え出された理論によって現象が起きるわけではない。
現象はいかなる人為からも隔絶しているのであって、科学がいかに混みいってきたからといって、この順位が逆転することはない。 だが現場を離れ机上の論理ばかりを弄んでいるうちに起きるはずがないとした
「本末転倒」 が起きてしまうのである。 映画 「踊る大捜査線」 で織田裕二演じる 「はみだし刑事」 が 「事件は会議室で起きているんじゃない、現場で起きているんだ!」
と絶叫する名場面は、かくなる 「転倒の様相」 を簡潔明瞭に表現している。
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