街の歓楽街には幾多の飲食店がひしめいている。 私がそのどこかの店に入る前までの状態は波動関数により説明される。
それはさまざまな可能性の数式である。 それが、私がとある店のドアを開けたとたんに収縮しその可能性の中のひとつが現実化する。
それは、私がその歓楽街の他のいかなる店にもいないことの確定であり、その歓楽街全体の波動関数は収縮しその歓楽街もひとつの時空間として現実化し固定される。
私とその歓楽街に位置するさまざまな店との間には確率的に幾通りもの道筋がある。 ファインマンの 「歴史総和法」 によれば、私はありとあらゆる可能な道筋を試そうとする。
私は何らかの方法でその歓楽街の時空間全体に広がっており、まったくでたらめな方法ですべての店につながっているとともに、その私が私自身と干渉しあっている。
私は同時に歓楽街のすべての店に存在し、かつどこの店にも存在しない。 しかし、私がとある店のドアを開けるやいなや、言い換えれば、その歓楽街の片隅のその店という局所で私が観測されるやいなや、確率的可能性でしかなかった宇宙から、たったひとつの宇宙に収縮し、その宇宙の片隅のとある繁華街のとある店のまわりに広がる時空間全体が現実として固定化されるのである。
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