アメリカの大統領選挙ではまさかと思われていたトランプ氏が勝利した。
その結果をふまえ世界は右往左往の大騒ぎである。 だが最も戸惑っているのは当のトランプ氏自身ではあるまいか。 メキシコ国境に 「万里の長城を築く」
からはじまった一連の過激な政策(あるいは暴言?)はトランプ氏の潜在意識下では当選することはないであろうという前提の上でなされたものではなかったか。
現実に当選してしまったトランプ氏は今その火消しに周章狼狽しているようにみえる。 |
黒は白があっての黒であって、全てが黒になってしまっては、黒としての意味は消失してしまう。
黒であったトランプ氏は白があってはじめて引き立ったのであって、白が消滅してしまっては勢いも失われてしまうというものである。 |
同様の構図は隣国の朝鮮半島でも起きている。 韓国の朴大統領の身に発した政治スキャンダルは燎原の火のように燃え広がり韓国全土を混乱の坩堝に陥れ、大統領弾劾が成立した今、あたかも無政府状態の様相を呈している。
この状態に最も戸惑っているのは誰あろう北朝鮮の金正恩委員長その人ではあるまいか。 トランプ氏同様、金正恩氏もまた韓国の民主主義体制が確固たる状態であってこそ自らの暴挙に存在意義が与えられるのであって、どうなるかかいもく見当がつかないような韓国の国情ではまことにもって居心地が悪いのである。
やはり、黒は白があっての黒なのである。 |
以下の記述は物質存在に関する量子物理学の話である。 |
無からの有の発生過程は量子論物理学者ディラックが説明するところである。
無から発生する有は 「ペア粒子」 と呼ばれる。 ペア粒子は 「電子(物質)」 と 「陽電子(反物質)」 のペアで構成されており、この宇宙において単独(つまり、電子のみの状態、あるいは陽電子のみの状態)では存在することができない。
生まれるのもペアであれば、消滅する時もまたペアなのである。 ペア粒子の消滅は 「対消滅」 と呼ばれ、このときに光りを発する。 |
トランプ氏や金正恩氏の戸惑いの本質はあるいはかくなる対消滅の構図に帰因する怖れと不安なのではあるまいか。
白が消滅すれば黒もまた単独では存在できずに消滅してしまうという構図は量子の対消滅と等価である。 ただひとつ気がかりなことは 「対消滅とともに光を発する」
という末尾の記述である。 この光が現実世界で何を意味しているのかである。 物理学を政治学に適用できないと言ってしまえばそれまでであるのだが
・・・ 杞憂であることを願うのみである。 |
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