| 従来の量子論で電子の未来のふるまいを予測しようとすれば、実験が始まる時点における電子の運動量やエネルギといった情報(初期状態)が、実験が終わる時点におけるそれらの情報(終期状態)がどうなったのかを計算するか、少なくともある特定の終期状態に達する確率を計算する必要があった。
そのためには微分方程式を解かなくてはならなかったが、リチャード・ファインマン(米国、1918〜1988年)が考え出した 「経路積分」
という方法では、この微分方程式を解く必要性がなかった。 その方法とは、電子が初期状態から終期状態までにたどる可能性がある 「すべての経路」
をあるルールに従って足し合わせるというものであった。 従来のニュートン力学の世界では、素粒子は、われわれの日常世界での物体がそうであるように
「決まった経路を通る」 とされていた。 しかし、量子世界では、電子は宇宙を踊るように飛び回っているのであって、それ以外の経路についても考慮しなくてはならないのである。
電子が宇宙の彼方まで旅したり、時間的にジグザグにさかのぼったり、進んだりする経路を無視するわけにはいかないのである。 これらの経路をたどると、自然は何の制御も受けず、通常のルートを無視しているように見えるのである。
|
| ファインマンは 「いろいろな出来事を時間の順序で並べるのは的はずれであって、すべての経路を加算すれば実験者が観察する最終的な量子状態に至っている」
と主張したのである。
|
| ファインマンの経路積分の帰結は、量子もつれが実証した非局所的宇宙の
「ひとつの断面」 を語っていると考えてしかるべきである。
|
|