だがそうであれば、アインシュタインの 「相対性理論の正当性」
はどうなってしまうのであろうか? いまだ納得できる説明はなされていないが、ひとつ 「解答らしきもの」 がある。 「宇宙とは現象である」
と言ったジョン・アーチボルト・ウィーラー(米1911〜2008年)は、量子論を唱えたニールス・ボーアの弟子にして、相対性理論を提唱したアルベルト・アインシュタインの共同研究者でもあった
「詩心をもった物理学者」 である。 「ワームホール」 や 「ブラックホール」 の命名者としても知られている。 ウィーラーは 「現実はすべて物理的なものではないかもしれない」
と問題提起した最初の物理学者である。 我々の宇宙は 「観測行為と意識を必要とする参加方式の現象かもしれない」 というのである。
ウィーラーは 「人間原理」 の普及にもひと役かった。 人間原理とは 「宇宙がこのような状態になっているのは、もし他の状態だったら人間がここにいて宇宙を観測することができないから」
という人間主体の原理である。 結局。 量子もつれの実証がもたらした物質から意識への大転換は 「宇宙が人間の意識的観測によって存在する」
という意識的存在論の妥当性を述べているのである。 化石でも幽霊でもない 「人間の存在理由」 はここ依拠するのであって、それがまた
「人間の存在意義」 なのである。
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