それは遡る54年前、1971年7月17日、西宮球場で行われた、江夏が9連続奪三振を記録したオールスターゲーム第1戦を観戦したときのことである。
試合前練習の王選手と長嶋選手を見た。 2人の全盛時代であった。 私の位置はバッターボックスからかなり遠くであり、彼らの顔等は判然としない位置であった。
その位置からも王選手はしっかりと区別できる大きな体であり、そのがっしりとした体から練習ピッチャーの投げる球を軽々とライトスタンドに何球も放り込んだ。
次に普通の体形の選手がバッターボックスに立った。 その選手のバッティングフォームはけして美しいとは言えなかったが、そのバラバラのフォームから打ち出された球は鋭いライナーで外野へ飛ぶ。
その内の幾つかは低い飛行曲線でレフトスタンドに入った。 この選手こそ長嶋選手であった。 |