Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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半径3キロの社会への憧憬
 グローバル社会も行き過ぎると今度はローカル社会に反転する。 そう 「半径3キロの社会」 である。 グローバル社会もまた 「そこから始まった」 のである。 何のことはない、事は遠大なループを描いて 「原点に回帰」 したのである。 だが、半径3キロの社会がかならずしも 「小さな世界」 で地球規模のグローバル社会が 「大きな世界」 というわけではない。
 量子もつれが明らかにした非局所的な 「ホロニック宇宙」 では宇宙における局所(部分)に宇宙全域の動向(情報)が含まれている。 したがって、半径3キロの社会の動向を観察すれば、地球全域のグローバル社会の動向が分かることになる。
 ちなみに、「もつれる」 とは糸や髪の毛などがからみ合ってほどけなくなる状態を指す。 そうであれば 「量子もつれ」 とは宇宙の局所と全体が 「からみあってほどけなくなる」 現象を意味する。
 そうであれば、量子もつれが実証した 「非局所的宇宙」 とは局所と全体を 「対比構造」 として理解するのではなく、「融合構造」 として理解すべきであろう。 換言すれば、「相対的に理解」 するのではなく、「相補的に理解」 すべきである。 言わずもがな、前者はアインシュタインが描いた 「相対的宇宙観」 であり、後者はボーアが描いた 「相補的宇宙観」 である。
 江戸時代に流布されたことわざに 「起きて半畳 寝て一畳 天下とっても 二合半」 という名句がある。 人間一人が占める広さは、起きていて半畳、寝ても一畳にすぎない、たとえ天下をとっても一日に食べる米の量は二合半である。 必要以上に富貴を望まないという意である。 まさに 「半径3キロの社会」 を言い得て妙ではないか。

2025.02.22


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