実証された量子もつれが明らかにした 「宇宙の非局所性」
とは、この宇宙における現象が宇宙の果てほどに遠く離れた場所であっても、相互に絡み合い影響し合っているとする性質のことである。 それは大乗仏教における中心経典である
「華厳経」 が説く 「万物は相互にその自己の中に一切の他者を含み、相互に関係しあい、円融無礙に旋回しあっている」 とする宇宙概念や、理論物理学者、デビット・ボームが説く
「目に見えるすべての明在系には、宇宙の一切を統御する暗在系が含まれている」 とする宇宙概念に等価的に相似する。
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それらの宇宙概念には 「ホロニックな秩序」 が内蔵されている。
ホロニックとは 「どんな部分にも全体の動向がふくまれているような関係性で語られる、ひとつの 「部分=全体系」 のことである。 我々は通常、部分と全体の応変を同時に見ることはできないが、ホロニックな関係性においては同時にとらえることが可能なのである。
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以上をまとめれば、「宇宙の局所には宇宙全域の情報が内蔵されているとともに、宇宙全域にもまた宇宙の局所の情報が内蔵されている」
と還元される。 それはまた 「細部は全体であり、全体は細部である」 という 「宇宙の内蔵秩序」 に合致する。 言うなれば 「非局所性とは宇宙の内蔵秩序」
のことである。
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「唯識論的物理学〜物質宇宙から意識宇宙への大転換」
では、非局所的宇宙とは 「科学的真理」 なのか、それとも 「哲学的思想」 なのかの問いを提起したが、何のことはない、「互いに同じ帰結を内包していた」
のである。 科学的真理と哲学的思想は遂に邂逅を果たしたのである。 なんと遠く遥かな旅路であったことか ・・ 感慨ひとしおである。
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