世界情勢は日毎に悪化し 「崩壊の臨界点」 に向かって止まる兆しがみえない。
その崩壊はすべての分野に波及するとともに、互いが互いを助長しているかのようである。 ここを手直しすればいいという段階は過ぎ去って、もはや手の施しようがない状況へと近づいている。
それはあたかも臨界を突破してコントロールを失った原子炉の 「核分裂反応の様相」 に相似する。
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かくなる結末は、第619.回
「科学的合理主義の終着点」 で描いたものであるが、末尾に配したオーストリア生まれ(1911年)の文芸評論家、エーリヒ・ヘラーの
「技術的進歩とは地獄をもっと快適な居住空間にしようとする絶望的な試み以外の何物でもない」 という事態のゆくすえを喝破した断言は、現代そのものを転写しているかのようなリアリティで迫ってくる。
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