Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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目的と経過の狭間〜拘束からの解放
 経過は目的を達するために通過する過程(道筋)であると考えるのが一般的である。 言うなれば、経過は目的のための手段であるとする考えである。 だがこの位置づけを逆転させて、経過を目的とし、目的を手段と考えると、様相は大分変わってくる。 経過を目的達成のための手段とすれば、通過する道筋はできるだけ短く効率的でなければならない。 だが経過を目的とすれば、手段としての道筋は必ずしも短く効率的である必要はない。 どこを通ろうが、迂回しようが、立ち止まろうが、いっこうにかまわない。 必要なことは、目的化した経過に意味があるかどうかである。 より哲学的に表現すれば、そこに 「自己実現の達成」 があるかどうかである。
 経過を目的達成のための手段と考えている現代人は、目的をのみ見つめて、日々拘束された最短で効率的な道筋を遮二無二に急いでいる。 それほどまで急いで 「いったいどこに行こう」 というのであろう。 そろそろ目的と経過を逆転させ、路傍に咲く 「ハコベの花」 を見つめるような生き方に転じるべきである。 かく眺めれば、この世は自在無礙な 「曼荼羅の世界」 に満ちている。 そこに遊ばないとはあまりにもったいない。 精神の拘束から解放された自由な世界への道は 「目的と経過の狭間」 に拓かれているのである。

2024.10.29


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