情報化時代は確かにさまざまな情報器機の開発によって便利になった。
世はそれを 「デジタル革命」 と呼ぶ。 スマートフォンが普及した現代社会では、様々な予約、決済、通信、診断、コンサル ・・ 等々、さまざまな処理が簡単にすばやく終了する。
それどころか考えることさえ、人工知能で効率的に導きだそうとしている。
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だが問題は、それを使う人間そのものにある。 その便利さは、善意の人にも、悪意の人にも、かわることなく同等に提供される。
言うならば、それらの利便性は 「諸刃の剣」 であって、使い方次第で 「毒にも薬にも」 なる。 良く効く薬は副作用もまた大きくなることは必然の理である。
先日、人工知能の開発に貢献したとしてノーベル賞が授与されたカナダ・トロント大のジェフリー・ヒントン教授は、発表会見で 「悪意のある人たちに利用されるのを防ぐ手だてが想像できない」、「やってはいけないことをやってしまったとの後悔もある」
と複雑な心境を吐露している。
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だが最近の論調は、これらの利便性の利点ばかりが喧伝され、その裏に潜む欠点としての危険性が語られることが少ない。
闇バイトによる強盗、偽サイトによる詐欺 ・・ 等々。 これらの事件は、進行するデジタル革命の 「負の側面」 を象徴している。 これらの負の側面を解消しようとセキュリティを向上させれば、さらに負の側面のセキュリティも同様に向上してしまう。
まさに 「いたちごっこ」 であって、その 「無限循環」 のループから逃れることができない。 生前、ホーキング博士が言っていた 「完全な人工知能の開発は、人類の生存に終止符を打つだろう」
の警句が甦ってきた。 あるいは、博士はこの無限循環メカニズムに潜在する 「致命的な陥穽」 を予見していたのかもしれない。
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