Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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人工知能の危険性
 スウェーデンの王立科学アカデミーは、10月8日、2024年度のノーベル物理学賞を 「人工知能の機械学習の基礎となる手法」 を開発した、米プリンストン大のジョン・ホップフィールド教授(91)と、カナダ・トロント大のジェフリー・ヒントン教授(76)に授与すると発表した。 両氏の成果を基に発展したAI(人工知能)は、スマートフォンなどの顔認識機能や、翻訳、医療での画像診断等々に活用されている。
 発表会見に電話で参加したジェフリー・ヒントンは、受賞の驚きとともに、「やってはいけないことをやってしまったとの後悔もある」 と複雑な心中を吐露した。 米グーグルの副社長を務め、AI分野の製品開発に関わったジェフリー・ヒントンであったが、その危険性を察知し、「悪意のある人たちに利用されるのを防ぐ手だてが想像できない」 として、2023年に同社を退任している。
 ジェフリー・ヒントンの苦悩は、「原爆の父」 と呼ばれたアメリカの天才物理学者、ロバート・オッペンハイマーの苦悩と酷似する。 科学の成功者ではあるのだが、やってはいけないことをやってしまった者の後悔は、永遠に消えることはないのである。
 「原爆」 といい、「人工知能」 といい、ひとたび 「パンドラの箱」 を開けてしまったら、もとには戻せない。 「知ってしまった」 ことを 「知らない」 ことにすることはできないのである。 しかり、人類にとって、「人工知能は原爆ほどに危険」 なのである。

2024.10.10


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