Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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人工から自然への回帰
 人工はものごとを解決するどころか、問題を複雑化させ、かえって解決不能に導いてしまう。 自然にひとたび人工を施せば、さらなる人工が必要となり、万物事象の様相はさらに複雑怪奇なものに変質していく。 結果。 人々をとりまく生活環境は、自然からどんどん乖離し、無機質なものへと移行する。 人々は自然の森の中から24時間眠らない 「人工都市」 へ移り住み、「人工システム」 が築いた豊饒の生活に埋没していく。 そこでは、縄文人が見上げた 「満天の星空」 など想うべきもない。 人工の生命維持装置につながれた人々には 「健康になる自由」 も 「死ぬ自由」 も与えられない。 日々、雑多なサプリメントを飲み、気になるといえばスマホに表示される電子決済の還元ポイントの数字だけである。
人工がもたらす未来社会とは、あたかも殺伐とした 「化石の森」 のようである。
 このシナリオからの脱却を望むならば 「人工から自然へ回帰する」 以外に他に方法はない。 それは老子、荘子が説いた 「無為自然」 の道であり、道元禅師が説いた 「心身脱落」 の道であり、弘法大師、空海が説いた 「即身成仏」 の道である。 さらに分かり易くいえば 「自然体に徹して」 生きることであり、「Let It Be(あるがまま)」 に生きることである。 そう難しい話ではないのだが ・・ 畢竟如何。

2024.10.03


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