Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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出生率の考察
 厚生労働省は2024年6月05日、2023年の日本人の出生数は、72.7万人(前年比マイナス5.6%)、出生率は過去最低を更新する1.20であったと報じた。 2024年の出生数は、さらに減少して70万人を割り込む公算大だという。
 現在時における、日本人の80歳代は98%の人が結婚して離婚率は10%程度であるが、若い世代では25%の人が結婚せず、結婚したとしても、3組に1組は離 婚し、離婚せずに子供を育てているのは4割に過ぎないという。 この状況では出生率の増加など望むべきもない。 かくなる実情を分かってか分からずか定かではないが、政府は矢継ぎ早に出生率向上に向けた政策を繰り出し続けている。 だがそのどれもが、子育て支援策等にみられるような 「金銭的支援策」 であって、その効果はまったくの期待薄である。
 現状、社会の実情を把握するにおいては、もっぱら 「経済成長率」 や 「国民経済規模(GNP)」 等の 「経済指標」 を中心にして行われている。 だがこれらの経済指標が、本当に日本社会の実情を語っているのか定かではない。 かえって前回考察した日本人の 「平均寿命の動向」 や、今回考察した日本人の 「出生率の動向」 等の 「人的指標」 のほうが、日本社会の実相を語っているのかもしれない。 そうであれば、現在進行中の諸施策は 「大きな間違い」 ということになる。 実相を表さない指標を、いかに加工、変形、創作してみても 「役立つ指標」 にはなり得ない。 それどころか、混乱はますます増大するばかりである。

2024.08.02


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