厚生労働省は2024年7月26日、2023年の日本人の平均寿命は女性が87.14歳、男性が81.09歳となったと報じた。
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近頃は互いに病院通いが多くなった友人と電話で話していた折に、この報じられた
「平均寿命」 からすれば 「余命」 は数年にせまっていると言うと、彼は 「報じられた平均寿命は、今生まれた子供が生きるであろう寿命の平均値であって、今老境にある人が今後生きるであろう寿命はそれよりも長くなる」
というのだ。 彼の慧眼に 「なるほど」 と目から鱗が落ちた。
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一般に寿命というと、テレビや車の寿命のように考えてしまいがちであるが、人の平均寿命は、これとは似て非なるものである。
人の平均寿命は戦争や災害や疫病等で多数の死者が発生すれば低下してしまうが、テレビや車などの寿命は、これらの社会的要因には左右されない。
言うなれば、テレビや車などで言う寿命とは 「耐用年数」 を表しているのである。 人の平均寿命においても 「耐用年数」 という意味がまったくないわけではないが、本質的には異なっている。
これを考慮せずに 「寿命」 を混同すると、前記したごとく、平均寿命までの年数を 「余命」 と取り違えてしまう誤謬が発生してしまう。
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テレビや車などの工業製品には、数値で規定された確かな耐用年数が存在するが、人の平均寿命(耐用年数)には、確かな数値が存在するかどうか定かではない。
それは生きてみなければわからないことである。 言うなれば、人の平均寿命とは 「生存可能性」 のことであって、その中には 「余命」
という概念は含まれていないのである。
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人の生存可能性は、戦争や紛争の回避、災害対策、地球環境の保全、医療技術の進歩発展
・・ 等々のさまざまな要因によって長くも短くもなる。 平均寿命を語るならば、これらのことを念頭におかなければ目先を誤ってしまう。
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結局。 この日の放談は、車の耐用年数も乗り方次第で長くも短くもなるように、人の耐用年数(寿命)も手入れ次第で長くも短くもなる。
要は 「心がけ次第である」 ということで、無事に落着となった。
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