即身とは 「想像と現実を一致させる」 ことである。
この構図を還元すれば、身の内に広がる意識世界と、身の外に広がる物質世界を一致させることである。 意識世界は運動を伴わない静的世界であり、物質世界は運動を伴った動的世界である。
互いに異質な静的世界と動的世界を一致させるにはどうしたらよいのか?
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知と行の一致を唱えた陽明学は、かくなる知(静的世界)と、行(動的世界)を一致させるところに核心がある。
この意味では、即身を唱えた空海の思想と、知行を唱えた王陽明の思想は根底で一致する。
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しかしながら、凡人が考えるところに従えば、この世は想像通りにならない現実世界と、現実通りにならない想像世界に満ちている。
解消する方法は、現実が想像通りであり、想像が現実通りであると 「考えること」 である。 凡人が考える想像通りでない現実世界と、現実通りでない想像世界にしても、そう考えているに過ぎないのであって、想像通りの現実世界と、現実通りの想像世界を考えることと本質的な違いはない。
要は 「そう考えるのか否か」 の違いだけである。
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この世のことは 「考え方しだいで」 いかようにも
「千変万化する」 ものである。 幸不幸にして、苦と楽にして、成功と失敗にして、考え方しだいでいかようにも反転する。 人が天国に地獄を創り、地獄に天国を創ることは、「この世の真理」
である。
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以上を総括すれば、帰結は簡単明瞭である。 身の内に広がる意識世界が、即ち、身の外に広がる物質世界であると
「考えるだけ」 である。 だが、それを頭で 「理解する」 ことは簡単であっても、心で 「頓悟する」 ことは、そう簡単なことではない。
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