Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
Turn

ニュートラルな精神状態〜考えるな、感じろ
 気持ちが高揚しようが沈滞しようが 「ニュートラルな精神状態を維持する」 ことが、人として健全に生きる秘訣である。 だが、時として、人は高揚にしろ、沈滞にしろ、精神の乱調に陥り、かくなる健全から逸脱してしまう。 場合によっては、その逸脱によって、自らを滅ぼしてしまう危険性さえある。 現代人の多くが 「精神の乱調子」 陥ってしまっている今、その修復は急務である。
 だが、だからといって無理やりに沈滞を高揚にしようとしたり、高揚を沈滞にしようとする 「意識操作」 は、事態を改善するどころか、かえって悪化させてしまう。 乱調に陥った精神状態を修復するには 「沈静化」 が最善の策である。 これ即ち 「ニュートラルな精神状態」 である。 ニュートラルな状態とは、可も不可もない、有も無もない、虚も実もない、貴も賤もない、美も醜もない、利も害もない ・・ あらゆる対立の狭間に位置する 「中立」 な状態である。
 それは老荘思想が説いた 「無為自然」 への道であり、道元禅師が説いた 「心身脱落」 への道であり、弘法大師、空海が説いた 「即身」 への道であり、伝教大師、最澄が説いた 「止観」 への道である。 それらの根底には 「頭をもって考えるな、心をもって感じろ」 という主調音が響き合っている。 手がかりがないわけではない。

2024.05.15


copyright © Squarenet