Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
Turn

瞬間にある永遠とは何か?
 人類がのちの世にのこす遺産とは何であろうか? あれこれ考えたあげくに 「文字に刻まれた人類の歴史」 とでも言うのであろうか? だがそれさえも日本の歴史で考えれば縄文時代が始まった1万2000年程度まででその先にはいかない。 古い日本人であれば神武天皇が即位した皇紀2600年程度までであろうか? 地球規模で考えても人類が生まれた500万年前程度であろう。
 我々が日頃考えている瑣末なことなど100年も経てば消えてしまうに違いない。 今、巷間を騒がせている大谷翔平選手であっても500年も経てば同じ運命をたどることになるであろう。 そう考えると、人はどこかで大きな間違いをしているのかもしれない。 文字を持つ人間が犬や猫より優れているなどという理由は存在しない。 それは50歩100歩の差でしかない。
 以下は 第820回 「永遠は瞬間にあり」 からの抜粋である。
 人間以外の生物に過去や未来があるのかはわからないが、私には彼らが今の今というこの瞬間を永遠に昇華させているように観える。 人間より遥かに短い生涯しかもちえない彼らであってもその生はすでにして永遠に行き着いているように観えるのである。 なまじ認識力に優る人間であるがゆえに今の今という足下には目がいかず、遥か彼方の 「ありもしない永遠」 を求め続けているのかもしれない。
 しかり。 「人類がのちの世にのこす遺産とは何か?」 などと考える前に、今の今である 「瞬間にある永遠とは何か?」 を問うことこそが先決である。

2024.03.01


copyright © Squarenet