Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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人間的意識の確立
 決定論的社会から確率論的社会への相転換と物質的社会から意識的社会への相転換によって生まれた複雑怪奇な現代社会の数奇を決定するものはいったい何であろうか?
私は天体の動きは計算できるが、人々の狂った行動は計算できない
 信じられないような話であるが、株式に投資したアイザック・ニュートンが大暴落で2万ポンドの大損をしたとき、後悔と落胆の失意の中で語った言葉である。 「自然哲学の数学的諸原理(プリンキピア)」 を書いた決定論的物理学の元祖であるニュートンもまた確率論的物理学の複雑怪奇な世界があることは知っていたのである。 落胆の失意にはその事実にたいする思いも含まれていたのかもしれない。
 人間の意識的観測による 「現象としての宇宙」 を提起したジョン・アーチボルト・ウィーラーにして、「物質と意識の結びつきを解明する道筋」 を提起したロジャー・ペンローズにして、人間的意識の重要性を述べていることには違いはない。 であれば、現在進行する確率的で意識的で不確定な現代社会を理解するためには人間的意識の解明が必要不可欠である。 ニュートンが計算不能とした狂った人間の行動さえも突き詰めれば人間的意識に端を発しているのである。
意識に物質が宿るのか? それとも、物質に意識が宿るのか?
 複雑怪奇な現代社会の数奇を計るための鍵はここに隠されている。 為すべきは 「人間的意識の確立」 である。

2024.02.17


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