現代は創作された世界ばかりが目につく。 創作された世界は、意識が紡いだバーチャル（仮想）の世界であって、リアル（現実）の世界ではない。 コンピュータが登場したせいで、世界はますますバーチャル化されていく。 世間を騒がせている 「人口知能（チャットGPT）」 が描く世界は、かくなるバーチャル世界であって、リアルの世界ではない。 意識が創作した世界が小説であるとするならば、チャットGPTが小説を書いたとて何ら不思議なことではない。 同様に、チャットGPTが作曲したとて驚くにはあたらない。

　だが忘れてはならない。 我々人間はリアルとしての現実の世界に生きているのであって、バーチャルとしての仮想の世界に生きているのではない。 現代人に存在感がないとすれば、それはかくなるバーチャルとしての仮想の世界に生きているからに他ならない。 同様に、現代の物事に存在感が感じられないこともまたそのせいである。 もし人工知能が社会の中枢を担う時代が未来であるとするならば、それは幽霊が闊歩するような社会であって、夢も希望もあったものではない。