科学的合理主義のあまりの成功に酔いしれ増上慢に陥った人間たちは、この世のすべてが人智をもってどうにでもなるかのごとく考えているのかもしれないが、人智をもってどうにかなるのは
「ほんのわずか」 などうでもいいような部分においてのみである。 「赤信号みんなで渡れば怖くない」 から始まった集団的な思考停止の歩みは
「信義で飯が食えるか」 という経済至上主義の弊害に陥り、自分ファーストの 「強欲資本主義」 に至って倫理観を喪失した 「末人の登場」
をもたらしたのである。 現代人が宇宙内蔵秩序としての 「宇宙の天秤」 を自覚する限り、危機は乗り越えられるように思うが、本末を転倒させて、その内蔵秩序を人倫の天秤で書き換えるようなことになれば、人類の命運も
「もはやそれまで」 ということになってしまう。
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