Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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連結する宇宙と重層する宇宙
 哲学者ニーチェが唱えた 「永遠回帰の構造」 とは 「今の今である現在を起点として、未来に向かうと過去に至り、その過去から再び今の今という現在に回帰する」 という過去・現在・未来が円環状に 「連結する宇宙」 である。
 他方。 私が提示する 「線形時間」 を廃棄することで行き着いた 「シンプルな宇宙の構造」 とは 「今の今である現在に過去と未来が含まれている」 という過去・現在・未来が階層状に 「重層する宇宙」 である。
 「永遠回帰の構造」 も 「シンプルな宇宙の構造」 も中核を成すのは 「今の今」 という瞬間としての 「現在」 である。 「存在と時間」 を著したドイツの哲学者ハイデッガーは 「永遠回帰説」 に寄せて 「永遠は瞬間にあり」 と付言した。 ニーチェはその永遠を 「過去と未来が連結する今の今としての現在」 に見いだし、私はその永遠を 「過去と未来が重層する今の今としての現在」 に見いだしたに過ぎない。
 私が追求した宇宙構造が別の道をたどって、ニーチェ思想に似た構造に至ったことは、不可思議な共時的相似性を感じるが、それは 「時間を描く西欧的な視点」 と 「空間を描く東洋的な視点」 の違いからくるものであって、本質は何ら変わるものではない。

2023.10.19


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