未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
大いなる混迷
第732回
「大いなる悲観と大いなる楽観」 を書いたのは2013年5月13日のことであった。 以下はその抜粋である。
日本はあたかも躁鬱病のようである。 しばらく前の民主党政権下では 「鬱状態」 を呈し、すべては 「悲観的」 であった。 自民党政権に変わるやいなや、今度は一転 「躁状態」 を呈し、すべては 「楽観的」 である。 「大いなる悲観は大いなる楽観に一致する」 とは、華厳の滝に身を投じた若者(藤村操)が死に臨んで記した言葉(巌頭之感)である。 日本の現状をとらえて暗示的である。
それから10年余が経過した現在の日本は 「大いなる混迷」 を呈している。 事態は 「大いなる悲観から大いなる楽観を経て大いなる混迷に至った」 ということになる。 それを精神構造の変遷でとらえれば 「鬱状態から躁状態を経て分裂状態に至った」 と置換される。 いずれの症状も健全な精神状態とはいえないが、鬱と躁が混在した分裂症状ともなれば、その病状はより複雑であって、その回復には困難を極めることになろう。
2023.10.03
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