比叡山延暦寺を開創した伝教大師、最澄の修行は法華経を深く探求するところから始められた。 釈迦の教えをまとめた
「教典」 の数は 84,000 あるといわれるが、法華経は釈迦の晩年8年間で説かれた集大成の教えであって 「誰もが仏になれる」
という大乗思想の根本教典である。 最澄はその法華経の中から 「照千一隅」 の字義を見いだした。 最澄はその 「照千一隅」 を
「一隅を照らす」 と簡潔に表現したが、本来は 「一隅を守るは千里を照らすなり」 という意味で、すべての人がそれぞれの分野で全力を尽くして生きて行くことが、結局は国全体を照らすことになるという教えがその解釈である。
最澄はそれを万民にわかるように 「一隅を照らす者は国の宝である」 と意訳したのである。
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