現象というメカニズムを哲学的に最初に探求したのは 「現象学を創始」 したオーストリアの哲学者、フッサール(1859〜
1938年)である。 フッサールは世界があると素朴に信じる日常の 「自然的態度」 から、純粋な意識の内面に立ち返り、そこにあらわれる現象をありのままに記述しようとした。
意識は常にみずからをこえて、意識の外へと向かう志向性を持っているが、フッサールは、その意識が志向する外界の実在性についての素朴な思いこみをいったん保留し、内面的な純粋意識の事実に立ち返り、「現象学的還元」
と呼ばれる方法で、意識の現象をありのままに見つめ、かくなる純粋意識から 「世界が構成される」 しくみを解明しようとした。
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