Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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意識的現象としての宇宙
 ウィーラーが言った 「宇宙は観測行為と意識を必要とする参加方式の現象である」 という考え方は、量子論の根幹を成す 「シュレジンガーの波動方程式」 における 「観測による波動関数の収縮」 によって 「宇宙が発生する」 という波動理論に依拠する。 さらには、その収縮が起きるのは人間による 「意識的観測」 であって、ネズミの意識や、酔っぱらいの意識では発生しないということが、宇宙論としての 「人間原理」 の依って立つ基盤である。 また、宇宙に人間が存在する意味は、人間のみに与えられたかくなる 「宇宙を発生させる意識的観測」 にこそあると言っても過言ではない。
 もし、宇宙が物質的存在ではなく 「意識的現象」 であるとすれば、この知的冒険の主題である 「意識が物質を発生させるのか? それとも、物質が意識を発生させるのか? しかして、意識に物質が宿るのか? それとも、物質に意識が宿るのか?」 という根本的懐疑は、「意識が物質を発生させ、意識に物質が宿る」 という 「意識的存在論」 に帰着する。
 その存在論は、あたかも般若心経が説く 「色即是空 空即是色」 のごとくに 「夢幻の世界」 である。 かくなる宇宙像を納得して認める人は今だ希少も希少であろう。 だがことの次第は、その希少に近づきつつあるのである。

2023.06.27


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