未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
刹那の風景
先日、新聞の紙面で、戦後を代表する詩人の1人、北村太郎の次なる詩を知った。
「朝の水一滴、ほそい剃刀の刃のうえに光って、落ちる - それが一生というものか」
詩には以下のような解説が付されていた。
長いように思える一生も自然界の目から見たらほんの刹那に過ぎない。 北村はそのことを朝のせわしない身支度のさなかにふと思い、自分が今ここに存在することの奇跡におののく。 このシーンに潜むのは人間だけの偏狭な視野にとどまらず、森羅万象の目でこの世を見渡そうとする詩的精神なのだ。
かかる 「詩的精神」 は、先日、掲載した以下、
第1768回
「刹那に燃える」 と同じものである。
「暗闇に光輝く大輪の花火、それが生きるということである」
以上の詩的精神は、時空のワンカットとして刻まれた 「刹那の風景」 なのである。
2023.06.21
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