未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
異次元の少子化対策に思う
政府は 「異次元の少子化対策」 と銘打って、後先を考えず、遮二無二に突っ走っている。 何が異次元なのか分かりかねるが膨大な予算が投入されることは確実である。 米国政府債務が31兆4000億ドルの法定上限に達し、議会で上限の引き上げや適用停止を決めなければ、政府がデフォルト(債務不履行)に陥るとされる危機は、債務上限を引き上げる一方、歳出を削減するなどの予算案で基本合意に至ったことで直前で回避された。
日本の政府債務は約1200兆円であるが、対GDP比でみれば261.29%(2022年度)で、世界1位の借金大国である。 米国の政府債務は、対GDP比、121.68%(2022年度)で、世界12位である。 それを考えれば、日本は米国のデフォルト(債務不履行)問題をあれこれ論じている場合ではないのである。 だがそれを憂慮する動きは皆目みられないのはどうしたことか? それどころか日本には債務上限を限定する法的拘束力があるのかさえ定かではない。
そんな状況の中で 「異次元の少子化対策」 に邁進することは政策としての妥当性があるのであろうか? またお金を投じさえすれば出生率があがるなどということは検証されているのであろうか? 仮に出生率があがったとしても、「人工知能の普及」 によって現在ある職種の80%がなくなると予測される未来社会において、その子らに相応の働き場所が提供されるのであろうか?
ここは性急に目先を追うことよりは、大局観に立って、実現可能性の高い政策を国民総意に基づいて立案すべきではあるまいか? しかしてその骨子は、人口さえ増加すれば問題は解消されるのか、そしてまた、人口は増加しなければならないのか、 さらには、人口は減少してはいけないのか ・・ 等々の根本的な問いから導き出されなければならない。
2023.06.02
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