未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
未来学者が夢見たものは
米国の未来学者、アルビン・トフラー(1928〜2016年)は、以下に列記する4冊のベストセラーを世に送り出した。
「未来の衝撃」 は1970 年に彼の配偶者である Adelaide Farrell と共著で出版した本で、「人間は制御できなくなった未来社会に住み続けていくことができるのか?」 という問いについて書いたものである。
「第三の波」 は1980年に出版された本で、「未来の衝撃」 の続編として書かれた。 情報革命による情報化社会の到来を予測したものである。 第三の波とは人類が経験してきた 「第一の波(農業革命)」、「第二の波(産業革命)」 に次ぐ波であることに由来する。
「パワーシフト」 は1990年に出版した本で、財力や権力を持つ者が支配していた時代から、21世紀は、知力や情報力を持つ者が支配する時代へとシフトすることを予測したものである。
「富の未来」 は2006年に出版した本で、「未来の衝撃」、「第三の波」、「パワーシフト」 と限りなく未来社会を考えてきたアルビン・トフラーが行き着いた 「個人の幸せと富」 について書いた上下巻700ページを超える大作である。
第327回
「ピラミッド型システムの崩壊」 は 「パワーシフト」 に関連して書いたものであり、
第1010回
「確信の終焉〜混沌からの秩序」 は 「第三の波」 に関連して書いたものである。 ともにアルビン・トフラーが予測した未来社会がいかなるものかを考える参考となればもって幸いである。
来るべき未来社会の胎動を次々に射抜いたアルビン・トフラーの鑑識眼には敬服するしかない。 その彼が、今まさに人工知能が拡散されようとする現代社会の様相を眺めたら何と言うであろうか? 惜しむらくは、もう少し長生きして、これからの未来社会を襲うであろう 「第四の波」 の様相を描いて欲しかった。 そう思うのは私だけではあるまい。
2023.06.01
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