スペイン風邪は記録にある限り、人類が遭遇した最初のインフルエンザの大流行(パンデミック)であった。
感染者は約5億人以上、死者は5000万人から1億人に及んだといわれる。 当時の世界人口は18〜20億人であると推定されていることから、全人類の3割近くが感染したことになる。
感染者が最も多かった高齢者ではほとんどが生き残った一方で、青年層では大量の死者が出た。 日本では、当時の人口5500万人に対し39万人が死亡したといわれる。
これらの数は戦争や災害などすべて含めた死因の中でも、最も多くの人間を短期間で死亡に至らしめた記録的なものである。 流行の経緯は、第1波の流行は1918年3月、アメリカのデトロイトやサウスカロライナ州付近などであったが、アメリカ軍のヨーロッパ進軍(第1次世界大戦)と共に大西洋を渡り、5月から6月にヨーロッパで流行した。
第2波の流行は1918年秋、ほぼ世界中で同時に起こり、病原性がさらに強まり重篤な合併症を起こし死者が急増した。 第3波の流行は1919年、春から秋にかけて、第2波と同じく世界中で流行した。
それまでの流行で多くの医師や看護師が感染者となってしまったことにより、医療体制が崩壊していたこともあって、第3波の流行では感染被害がさらに拡大した。
この経緯を教訓として、2009年、新型インフルエンザの世界的流行の際には、インフルエンザワクチンを医療従事者に優先接種することとなった。
|