未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
超人への道
哲学者、ニーチェが未来に登場するであろう人間像については、
第636回
「末人」 で描いている。 その人間像は、まさに 「現代人」 そのものである。 彼らは 「われわれは幸福を作りだした」 と目をまばたかせて胸を張るのであるが ・・?
確かに彼らが作りだした 「洗練された幸福の世界」 は、一見すると民主的で、互いに共生しているかのようにみえる。 だがそこに 「生の輝き」 は乏しい。 心の内は虚ろ、その魂は死んでいるかのようである。 合理的で整然たる世界の中で 「金太郎飴(※)」 のように同じ顔をした人々がたむろす社会のどこに、人間としての尊厳が存在するというのであろうか?
がゆえに、ニーチェは末人を脱した 「超人への道」 を構想したのである。 だが未だその道をゆく人影はまばらである。
(※)金太郎飴 : 切り飴の一種。 丸い棒状のさらし飴で、どこを切っても断面に金太郎の顔が現れるように細工したもの。 江戸時代中期から売られていた。
2023.04.06
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